Levitrope
「Levitrope」
落合陽一, 大桃耕太郎, 鈴木健太, 佐藤大哲
2016.10.26 明治神宮外苑前
Tokyo Design Week 2016, Image and Matter by Yoichi Ochiai Cyber Arts and Science towards Digital Nature, Media Ambition Tokyo 2017にて展示
Levitrope: 身体性を感じるための重力,計算機自然.
浮遊は神秘的な現象だ.なぜなら,重力下で空中に物質が固定されるという特異な状況は重力下で育まれた我々にとって,自然との決別を思わせるからだ.それゆえ浮揚は多くの奇術に取り入れられ,その神秘性が人を魅了してきた.
ステージの上の浮揚は奇術師の神秘的な能力として映るが,自分の側で起こる浮揚,そしてそこに人が介在しない浮揚は,鑑賞者に身体性を強烈に思い起こさせる.なぜなら,重力下で支配された自分の身体と,重力を解き放つ浮揚物の間の対比が,再帰的に自らの身体を強く意識させるからだ.
HMDやディスプレイを駆使したVR空間にはこの現象は生じえない.なぜなら,VR空間に質量はなく,浮揚物は当然のように存在する.自らの身体もデータ化されているから,解像度のずれが浮揚に対する感覚を麻痺させ,ヘッドマウントディスプレイやディスプレイを見るという儀式が,浮揚に対する特殊性と身体性との対比を取り去るからだ.
身体性を意識させる計算機自然的作品.我々のイメージする計算機自然の世界はきっと浮揚の身体性とのリンクが外れていく世界だろう.この世界のあらゆるものが重力という「現状の自然」から自由になったように見える世界が「計算機自然」ともいえる.それゆえ,浮揚による身体性への回帰,そしてそれが平常的に見えるインスタレーションによってその先の自然,「宇宙的な重力下」を思わせるというものをテーマに作ることにした.
浮揚する回転体をいくつも作る,というベースのアイディアのもと,Levitrope(レヴィトロープ)という名前でプロジェクトをスタートした.Levitation(浮遊)とTrope(回転)を合体させたこの造語は,ZoetropeやKinematographのような回転系メディア装置へのオマージュでもある.
エジソンの時代,回転するイメージによって人は自然から実質的な世界を切り出すことに成功した.映像は言わずもがな最も成功したバーチャルリアリティである.我々の世界にある時間と空間を,視覚的,そして主観的な実質的なコマに切り取り,重力を解き放ち,電信と融合することで距離の壁を超越した.我々がアポロによる月面到達やスペースシャトルの映像で異なる重力や重力からの解放を目にしたのも,この壮大なヴァーチャルリアリティ装置を通じてのことだ.ディスプレイを見る,という儀式を通じて,直接目にしていないものをときに現実として信じ込み,ときにコンピュータグラフィクスや特撮として虚構だと信じる.この排反性が映像メディアのもたらすリアリティであり,それゆえ何を信じるかが重要になる.
我々の信じる計算機自然は,我々の身体と地続きである全ての現象を現実として受け入れることで,実質と物質の区別を超越する.実質的か物質的かの違いこそあれ,それは虚構ではなく現実である.ディスプレイを見るという儀式を省くことで,まるで魔術的に振る舞うあらゆるものがに存在するようになる.
Levitrope(レヴィトロープ)は作品として,そういった計算機自然を表現した.外見上は銀で出来た球と鏡面仕上げの回転機構で出来ていて,その見た目は日常的な環境,青空と芝生と野球場という環境を切り取って映し続ける.夜には照明や月や星を,昼には喧騒と緑と青空を.その現実の鏡像は重力を超えて我々の身体性を映し出していたように見えた.
回路制作, 什器制作を担当。
記事:ASCII, VRやIoT、AIが発展した先にある新しい世界とは http://ascii.jp/limit/group/ida/elem/000/001/272/1272237/
"Levitrope"
Yoichi Ochiai, Kotaro Omomo, Kenta Suzuki, Daitetsu Dato
2016.10.26 Meiji Jingu Gaien
Exhibited at Tokyo Design Week 2016, Image and Matter by Yoichi Ochiai Cyber Arts and Science towards Digital Nature and Media Ambition Tokyo 2017
Leviation is strongly related to the magic and the enchantment. Media Instruments in Edison’s age are developped to defy the gravity by the rotated visual images. Here is the artwork called “Levitrope”, this word stands for “lev(levitation)” and “trope(rotation)”. This media installation displays levitated metalic balls and they rotates on the wheel like structures. It reminds us our body and enbodiment of ourselves under the gravity. We envision these zero gravity kinetic sculpture will new media installation of Digital Nature Age.
I am in charge of circuit production and fixture production.
Article: What is the new world ahead of the development of ASCII, VR, IoT, AI http://ascii.jp/limit/group/ida/elem/000/001/272/1272237/
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